息が吐けても、その息を効率よく声にできないのであれば、うまく歌に使うことはできません。
まずは、多く吸いすぎないことを心がけてください。
息を吸いすぎると、かえって長く息を使うことができなくなります。
具体的に練習をしてみます。
息を吐き、吐く息を手に当ててみましょう。
手を少し離して、そこに20秒くらいの間、かかった量が均等になるように当ててください。
次に「アー」にしたり、すべての力を抜いて、「アー」と弱い声で出してみたりしてください。
課題は、息の強さのコントロールと、発生へ丁寧に変換することです。
息をまっすぐぶつけて声にするのでなく、息にやわらかく溶けこます感じで声にしていってください。
こうして、体と息と声との結びつきを意識することによって息を確実に声にすることが覚えられます。
複式呼吸による発声法
歌に求められる呼吸は、腹式呼吸です。
腹式呼吸とは、横隔膜の動きを中心とした呼吸法です。
これは、瞬時に十分な息を取りこめて、吐く息の微妙なコントロールができる上、発声を安定させるため喉が開いた状態を保つことができます。
分からない人はまず、息を思い切り吐いてから、自然に息が入ってくるのを待ちましょう。
深く吐き、深く吸うのです。
結果的には、吐くときに横隔膜を下げたまま保ち、すぐには戻さず少しずつ横隔膜を戻しつつ声を出すというのが、歌に生かせる腹式呼吸です。
お腹から声を出す方法を覚えるには、お腹から笑うことも効果的です。
まずは一分間、声をあげて笑ってみてください。
笑うときにはほお骨が上がり、口の奥が空いた状態になります。
深い声を出すのにとてもいい状態といえるのです。
もし笑ってお腹が痛くなるようなら、まだ腹筋が弱いのです。
スポーツ選手ほど腹筋を鍛える必要はないですが、笑い続けられるくらいには強化したいものです。
腹筋を強化するためのトレーニングとしては、「ドッグブレス」といって、走ってきた犬が「ハッハッハッ」と息を吐くようにするのを真似るトレーニングがおすすめです。
声量のある歌を歌う方法
昔は音響技術が悪く、ボーカリストにとって声量があることは必須条件でした。
しかし、今やただの大声は、音響を通すと一本調子になって、歌としての働きかけが弱くなりかねません。
強い声は部分的に絞り込んで使ってこそ、効果が出るのです。
したがって、ステージで歌うときなどは、生の声を大きくするより、大きく出しているように聴こえる工夫をしましょう。
曲の構成や展開の中で、ピークの部分に、言葉の鋭い切り出しや、抑揚のつけ方で、インパクトを出すようにするのです。
すると、そこにボリューム感を感じさせることができます。
また、ステージでは声の大小とともに、表情やアクションの印象でも大きくかわるものです。
あとは、声を長く伸ばすとピッチが下がったり、リズムが狂ってしまう人がたくさんいます。
その原因の多くは、息継ぎが浅いということにあります。
息継ぎが浅いと、フレーズの終わりまで声を均等に保てなくなります。
お腹の底までしっかり息を入れ込むようにしましょう。
また、フレーズの語尾がうまく切れない人も、息に十分な余裕がないことが多いようです。
実際の語尾より、もう1小節先まで歌うくらいの気持ちで十分な量の息を取り込むようにしてください。
なお、かつては、ビブラートをかけないと、声を伸ばしたときに安定しませんでした。
ですが今では、ビブラートの役割をエコーが担っているので、むやみに演歌歌手のようなビブラートを付けてしまうと、かえって音響処理がしにくくなってしまう場合もあります。
ビブラートはメリハリをつけるために必要な自然な流れまでにとどめ、適度に振るえたりや揺れるところがあればカットしましょう。

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