勉強が健康によい、というのを証明するのに興味深いデータがあります。
それは、フライ大学のスミッツらが、オランダで55歳~85歳の地域住民2380人を対象に行った4年後の死亡率の調査結果です。
それは下記のようになっています。
| 年齢:55~64歳 | 4年後の死亡率3.7% |
| 年齢:65~74歳 | 4年後の死亡率8.9% |
| 年齢:75~85歳 | 4年後の死亡率21.3% |
| 学歴:中卒レベル | 4年後の死亡率13.9% |
| 学歴:高卒レベル | 4年後の死亡率8.6% |
| 学歴:大卒レベル | 4年後の死亡率11.1% |
| 心臓病の有無:無し | 4年後の死亡率9.4% |
| 心臓病の有無:有り | 4年後の死亡率18.1% |
| がんの有無:無し | 4年後の死亡率10.5% |
| がんの有無:有り | 4年後の死亡率17.3% |
| 情報処理速度:0~24.50 | 4年後の死亡率16.4% |
| 情報処理速度:24.51~50.70 | 4年後の死亡率5.8% |
| 流動性知能:2~18 | 4年後の死亡率14.9% |
| 流動性知能:19~24 | 4年後の死亡率7.0% |
情報処理速度、流動性知能はともに、数値が高いほど知的機能に優れているということです。
このデータから、歳をとってからは、知的機能に優れているほうが長生きできるといえます。
たとえば、55歳から64歳の人であれば、4年後の死亡率は3.7パーセントでしたが、75歳から85歳であれば21.3パーセントの人が4年以内に死亡しています。
この調査では、さまざまな病気の有無でどのくらい生存率が違うかを調査しています。
たとえば心臓病のある人の4年後の死亡率は18.1パーセントでしたが、ない人は9.4パーセントでした。
がんについては、ある人で17.3パーセント、ない人で10.5パーセントでした。
この調査がユニークなのは、このような病気の有無より、歳をとってからの知的機能のほうがその生存率を占えるのではないかと考え、調べた点です。
実際、この予想は、想像以上に正しいものとなりました。
たとえば、情報処理速度のテストでは、最初に2個が対になったアルファベットの一覧表を見せて、その後、KBGSUというようなアルファベット列を刑事して、どれに対応するかという並べ替えをさせたものです。
このスピードが上から1200人の4年後の死亡率はわずか5.8パーセントだったのに、下から1180人の死亡率は16.4パーセントになっていました。
つまり、55歳から85歳の年齢に達した際に、このようなアルファベットの並べ替えテストで同年代の上位半分以内にいるのといないのとでは、4年後の死亡率が3倍近くも違うのです。
これはがんのあるなし以上に大きな差となっているのです。
そのほか、一部が欠けた図形を見せて、欠けた図柄に一致するものを6つの中から選ばせる「流動性知能」のテストについても、上位の1161人の死亡率は7.0パーセントでしたが、下位の1219人の死亡率は14.9パーセントに上っています。
これらのことから、歳をとっても高い知能を保っていれば、それだけ長い余命が期待できます。
つまり勉強をすることは、長生きの秘訣でもあり、有用な健康法といえるのです。
最近になって活性酸素の問題が出てきて、運動をやりすぎるほうが早く老化するのではないかとさえいわれるようになってきたことを考えると、勉強をするほうが安全な長寿法といえるかもしれません。
実際、作家や政治家など、歳をとっても頭を使いつづける職業の人は長生きをしています。
逆にスポーツ選手で意外に長生きしない人も多くいます。
また、長寿をしている政治家や作家が、必ずしも健康的な毎日を送っているわけではなく、平気で徹夜をしたり、飲酒、喫煙などの習慣をつづけている人が多いのを考えると、歳をとってからも頭を使いつづけることがいかに身体にいいかと思います。
ただ、そういった人達はもともとの頭の出来が違う、と思われるかもしれませんが、先ほどのデータで、学歴別の4年後の死亡率の結果を見てみると、中卒レベルの死亡率は13.9%、高卒レベルは8.6%、大卒レベルは11.1%で統計学的な差がないといえるのです。
つまり、若い頃に勉強ができた、若い頃勉強をよくしたか、よりも歳をとってから知的レベルを維持できているかどうかが寿命に大きな影響を与えるといえるのです。
もともとたいしたことがないから、とあきらめず、歳をとってからも勉強をし続けると、健康寿命が伸びる効果が期待できるということです。

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