遺産が家(不動産、土地)だけという場合の遺産相続の問題とその解決策

お金に関する知識

遺産の分け方は、実は意外と自由のきく制度になっています。
相続する全員が納得すれば、という前提条件はつきますが、みんなの合意さえあれば、どのような分け方をしても構いません。

遺産はケーキを切り分けるように相続される遺産を振り分けますが、切り分けるケーキのカットの仕方は自由なのです。
分ける人が二人なら、きれいに半分にカットして山分けでもいいですし、8つに切って、5つを一人が、残りの3つをもう一人、といった配分でも構いません。

しかし、ここにひとつ問題が生じます。
現実には遺産はケーキのように簡単に分割できないことが多いのです。
その代表が土地、家などの不動産です。
マンションの一室に建築業者を呼んで部屋ごとに分割するなどという相続は現実的ではありません。




一般に日本人の資産形成バランスは、どうしても不動産の占める割合が高くなります。
遺産の大部分が亡くなった方の名義の自宅というケースが珍しくありません。
とくに都市部では不動産の価値が高くなりますから、このケースが増えます。
亡くなった方が、余生を旅行などの趣味で楽しみ、お金を使っていたり、介護や医療にお金がかかってしまって、最後は現金や貯金がほとんど残っていないという事例も多くあります。
現実の問題として、残った自宅はどのように処分されるのでしょうか。

なくなった方がきちんとした形で遺言書を残していれば、その内容が優先され、従うことになります。
遺言書を残していなければ、相続人たちは話し合いによって、どのように自宅を相続するかを決めます。
たとえば兄弟二人で相続するとします。
現実的には、下記のような方法から選んで、話し合いでまとめることになるでしょう。

・建物を壊して更地にして、土地だけを等しい価値になるように分筆、兄弟がそれぞれで引き継ぐ。

・兄弟で不動産を共有して相続し、売却してそのお金を分ける。
または、そのまま不動産を貸して、家賃を分ける。

・兄か弟が単独で不動産を取得し、その代わりに対価として現金をもう一方に払う

この場合、兄弟のそれぞれが親元から離れて別に自宅を持っている場合と、兄か弟のどちらかが亡くなった親御さんと同居していた場合とで、話し合いの内容が変わります。
それぞれ別に自宅を持っているのなら、実家の不動産についてどの方法を選択しても、直接自分たちが住んでいるわけではないので、比較的スムーズに話し合いがまとまる可能性が高くなります。

しかし、兄か弟のどちらかが親御さんと同居していた場合、簡単にはいきません。
同居していた方はもちろん、今後もそこを自分の本拠として使用するつもりでしょう。
住み慣れた我が家という思い入れも強いでしょうから、大きな利害関係をもつことになります。
また、親御さんと同居していた場合、生前から親御さんの家計と同居人の世帯の家がきちんと分けられていないケースや、親御さんに対する介護や看病などで苦労したことを理由に、話し合いで有利な条件を引き出そうとするケースが出てきます。
そうすると、同居していなかった方が、不満や不信を持つ場合もあるでしょう。




相続人である兄弟同士の話し合いをどう決着させるかは、個別の状況ごとに全く異なってきます。
第三者からみれば似たように思える前提条件でも、当事者の気質や親御さんとの関係、相続人同士の関係、それぞれの経済状況などから、全く異なる結末になることも珍しくありません。
まれに同居して世話をしてくれたことに感謝して、スムーズに話し合いが進むケースもあります。

ところで、兄弟のどちらかが親御さんと同居している場合、非常に分けにくい家の不動産の相続でトラブルを回避する方法はあるでしょうか?

ひとつは、普段から親御さんの家計と自分の家族の家計を、きちんと分けて管理しておくべきでしょう。
親御さんが自由にお金を使えるような状態を作っておくべきで、たとえ認知症など健康上の理由から親御さんのお金の管理が難しくなった時にも、きちんと使途の明細記録はつけておくべきです。
最近ではご高齢の方、もしくは同居をしない方の相続人のニーズに応えて、専門家が財産管理のサービスを提供したり、成年後見業務として受任したりすることも増えています。
後になって不信を招くようなことは余計な労力です。
事前にこのような体制を整えておくだけで、トラブルの回避につながります。

もうひとつは、親御さんにきちんと遺言書を書いてもらうことです。
本来、不動産は、兄弟の共同名義で相続すべきものではありません。
不動産をいったん共有状態にしてしまうと、売却するにも、他人に貸すにも、自分一人だけでは決められず、必ず共有者の協力が必要になるためです。
兄弟のどちらかが一緒に住んでおり、同居の子に感謝しているのなら、その子に自宅を相続させる内容の遺言書を作成し、もう一方の子にはまた別の配慮をしておく必要があるのです。




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